映画感想ブログ シアターじぶんち

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『LION/ライオン 25年目のただいま (2016)』感想 息苦しさと生きる苦しさ

LION/ライオン 25年目のただいま(字幕版)

 

実話がベースの作品。

物凄い圧力と迫力。

 

 

あらすじ

インドの貧しい家庭で生活する5歳の少年サルー。

彼は兄と仕事を探しに行った先で迷子になってしまった。

汽車の中で寝ていたサルーは、言葉も通じない知らない街へ運ばれてしまった。

紆余曲折を経て、オーストラリアへ養子に出されたサルー。

20年後、数少ない記憶とグーグルアースを手掛かりに、母と兄を探そうとする。

 

感想

 

前半の息苦しさが凄い。

引きの画でポツンと主人公が映されるシーンが多く、物凄い孤独感。

カメラが子供の目線で寄っていく所は、自分も主人公に入り込む様で辛い。

それでいて徹底した客観視、観察者の目線で人物を追っていく。

そして、音楽が明るくなる事を許してくれない。

見ている間中ずっと、不安で心細い感覚が付きまとう。

 

主役と一緒に自分も迷子になってる様な不安と絶望。

周りの人が良い人なのかどうかも分からない。

疑心暗鬼と人間不信でおかしくなりそう。

こんなに静かなのに、体感型の作品。

 

役者の演技力

主役・サルーの幼少期を演じたサニー・パワールの顔が良い。

表情でどれほど語るのか。言葉が無くても胸が締め付けられる。

ストリートチルドレンの集団と出会うときの顔と一連の流れが本当最高。

行動の一挙手一投足が不安定で、見ていてとても怖くなる。

 

大人になってからのサルーを演じた主演のデーヴ・パテールも、名演だ。

見ているだけで苦しくなる、思い詰めていく表情。

出口の無い洞窟をさ迷うように。

見ているだけで精神を消耗する。

 

人は過去とどう向き合えば良いのか…

絶望しか無い中で、やっと行き着いた先。

そこも決して楽園では無くて、本当に抜け出すためには、過去を乗り越えなければならない。

過去に縛られている内は前へ進めないのだ。

しかし、その戦いもまた辛い…。

 

もう一つの可能性として

物語中盤、重要な人物が登場する。

彼の存在がこの作品をよりフェアに、より奥深いものにしているように感じる。

 

 

タイトルで、お涙頂戴ハッピーエンド物かとお思いの方も是非ご覧いただきたい。

圧力をかけられ続けただけあって、解放感がドッと押し寄せる。

辛く、厳しく、それでも温かい、人生を丁寧に描いた作品。

 

 

知らない言葉の知らない街で一人ぼっちの迷子は、大人でもキツい!

 

 

25年目の「ただいま」

25年目の「ただいま」

  • 作者: サルー・ブライアリー,舩山むつみ
  • 出版社/メーカー: 静山社
  • 発売日: 2015/09/18
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