映画感想ブログ シアターじぶんち

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『羅生門(1950)』感想 世界のクロサワ誕生作。

羅生門 デジタル完全版

 

ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞、アカデミー賞名誉賞受賞作。

映画監督・黒澤明の名を世界に轟かせた作品。

黒澤明監督作品としては11作目、脚本家・橋本忍のデビュー作。

以降、このコンビは「生きる」「七人の侍」を始め、8本の共同脚本作品を作り、映画史を彩る事となる。

三船敏郎、志村喬等々、黒澤映画お馴染みのキャスト陣が出演。

 

原作は芥川龍之介の「藪の中」と「羅生門」。

 

 

 

あらすじ

舞台は平安時代。羅生門で雨宿りをしている杣売りと旅法師の男2人は首をかしげていた。

自分たちが目撃した事件の真相が一体何だったのか、分からないのだ。

そこへ1人の下人が雨宿りにやってくる。2人は下人に事件を語り、意見を求める。

盗賊が、武士の夫婦を襲い、夫を殺した。

しかし、証言者の発言がそれぞれ異なっていた…。

 

感想

美術の大映

この映画の芸術性を一段と上げている美術と撮影。

土砂降りの雨。壮大なセット。

カラー作品に引けを取らない、光と影、白と黒の表現力。

映画の世界を深く豊かにしている。

 

役者の魅力

三船敏郎のエネルギーの塊の様な存在感。

粗野な笑い方が良い。

京マチ子の同一人物とは思えない程の演技の落差。

身体1つで作品をより複雑な物へ変える程の力強さ。

 

藪の中

本作のタイトルは「羅生門」だが、中身はほとんど「藪の中」。

それもそのはず、本作の土台になっているのは橋本忍が「藪の中」を脚本化した「雌雄」という作品。

その作品の映画化を決めた黒澤明に「ちょっと短いんだよな」と言われ、咄嗟に「羅生門を入れたらどうでしょう?」と提案したそうな。

そして、橋本は2つを混ぜた「羅生門物語」を書き上げる。

「羅生門物語」は、原作・「羅生門」から「藪の中」へと話を繋ぐ形式にしたが、本人曰く「ブザマな失敗作品」に終わり、

後日、黒澤の改訂により「羅生門」の中に「藪の中」を入れ込む構成の、映画「羅生門」が誕生することとなる。

 

 

まとめ

言われてみると、2つの話が独立していて、ムリヤリ繋げた感がないでも無いが、

それを補って余りある魅力を持った作品。

教科書にも載っている程の作品なので、1度は見ておきたい。

 

 

 

 

証言してる後ろでちょこんと座ってる志村喬と千秋実が、マスコット感溢れてて何か可愛い。

2人の人形とか出してほしい。 

 

本文中の制作過程はこちらから。

複眼の映像―私と黒澤明 (文春文庫)

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