映画感想ブログ シアターじぶんち

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「ありがとう、トニ・エルドマン(2017)」感想 人生に潤いを与えるのは愛とユーモアだ!

ありがとう、トニ・エルドマン(字幕版)

仕事に追われて疲れ切っている娘と、悪戯好きで面倒くさい父親の交流を通して人生と愛を描く。

面倒くさいんだけど嫌いにはなれない距離感とか、笑えないんだけど笑っちゃうとか

微妙で曖昧な感情のまま宙吊りにされながら、ラストは怒涛の勢いで感動をもたらす。

監督/脚本はマーレン・アーデ

出演 ヴィンフリート: ペーター・ジモニシェック

   イネス: ザンドラ・ヒュラー

あらすじ

主人公は悪戯が大好きな父・ヴィンフリートとコンサルタント会社で働く娘・イネス。

イネスは仕事に追われ、2人の関係はあまり上手くいっていない。

ある日、彼女が働くブカレストへ、ヴィンフリートが連絡も無しに突然やってくる。

ぎくしゃくしながらも何とか数日間を一緒に過ごし、父はドイツに帰って行った。

日常に戻ったかと思いきや、彼女のもとに、トニ・エルドマンと名乗る男が現れる。

 

感想

飾り気のない画 

映画は父・ヴィンフリートが宅配便を受け取る所から始まる。

雑然とした空間と構図。

質感がホームビデオの様で、手ブレが目立つ。

作り物ではない現実感を強調するためだろうか。

ドキュメンタリーの様に撮られ、リアリティのラインが現実に近い事を表す。

登場人物たちが、このラインを逸脱するときの驚きが際立つ。

 

オヤジめんどくせぇ!

ヴィンフリートは、悪戯とさほど面白くもないユーモアを連発する。

これが非常に気まずい。

気まずくて、周りとの空気の差に面白くないのに笑っちゃう。

常軌を逸した行動も飛び出してくるからタチが悪い。

面倒くさくて嫌になったりもするけど、心配してくれているのは分かるから、突き放すことはできない。

親子の微妙な距離感の描き方が上手い。

 

表情で語る

登場人物たちの会話が上手くない。

気の利いたセリフも特に無い。

大事なシーンでは言葉が少ない。

その分感情を表情で物語る。

役者の演技が本当に凄い。

台詞よりも雄弁、何倍もの情報量が詰まっている。

 

自分を開放する

映画終盤のイネスが自分を開放するシーン。

ここの破壊力が凄い。

昔、親娘2人の間にこう言う触れ合いがあったんだろうなと思わせるシーンから、

自分を愛することを思い出した彼女が、虚飾を剥ぎ捨てる。

自分の人生にとって本当に大事なものは何なのか。

ここからの着地が現実的なラインに収まるのも良い。

全てを投げ捨てて自分探し!とかじゃなくて大人な感じ。

 

まとめ

思いやりから対立したりすれ違ったり、表現が下手で行き違ったり。

2人の感情の機微の表し方が見事。

端々に「やっぱりアンタら親子だよ!」って言うのが見えたりするのがチャーミング。

 

いつまでも、ユーモアを失わずに笑っていたいものです。

 

ユーモアで生き延びるひと

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笑いが無いと生きられないひと

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